仕事の駐在や旅の帰り、空港でのやりとりはなかなか楽しいものがあります。
国をまたぐ引っ越しのときは、毎回徹夜で空港に行くので、頭はぼーーーー、でも、うっかり忘れ物ができないのでピリピリしていますが、旅の帰りのときは気が楽です。
チュニジアでの仕事が終わって出国する時は、ちょうどイスラムのハッジ(大巡礼)に当たり、サウジアラビアのメッカ巡礼へ行く人々で空港はごった返していました。空港や駐車場へ行く道路も大渋滞で、なかなか空港の中に入れなかったのですが、そんな中、見送りに来てくださった先輩とお別れをして、パスポートコントロールに並びました。
案の定、そこも長蛇の列で、「これは飛行機に間に合わないなーーー」と思いつつ、皆同じような状態だから、きっと飛行機も遅れるなと思っていたら、その通り。パスポートコントロールを抜けない限り飛行機には乗れないので、待つしかないのですが、一人なので話し相手もいないし、携帯もないし、じりじりと待っていると、ようやく私の順番が来ました。
パスポートコントロールのおじさんにパスポートを渡すと、中身をしげしげと見て、「あれーー、もうチュニジアから帰っちゃうの?残念だなーーー。僕、日本に興味があってね、娘も大好きなんだよね。アニメをよく見てるんだよ。娘に日本語を教えてほしかったなーー。もう帰って来ないの?」と話し出しました(初対面です)。
私の後ろも長蛇の列で、殺気立ったお客さんたちの気配を感じるのですが、まったく気にしないおじさんに「いえ、もう日本に帰るんですー」。
「日本のパスポート久しぶりに見たよー。チュニジアにいる間にちゃんと観光できた?見所たくさんあって、キレイな国だったでしょう。僕はね、〇〇県の出身でね、…」とパスポートを上下にひっくり返しながら話は続き、「じゃあ、残念だけどパスポート返すね。またチュニジアにおいでね!」と見送られて、コントロールを抜け出しました(後ろには鬼の形相のお客さんが並んでいるので、さすがに振り返れませんでした)。
チュニジアからフランスに飛び、パリの空港のパスポートコントロールでも、「私ねー、日本語勉強してるんだけど、アルファベット難しくて困ってるのよ。どうやって覚えたらいいの?コツ知りたいんだけど」と聞かれてしばし歓談。
日本のささっと終わるパスポートコントロールは効率的で助かりますし、これを見ると「あぁ日本に帰って来たな」と感じるのですが、お話し好きの人たちと、その国で最後の言葉を交わすというのも、なかなか嬉しいものがあります。
そろそろまた旅が恋しいです。
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